第2回:箕面の山パトロール隊 ロザンナ チャンさん

大阪市近郊にありながらも数多くの生物が生息している自然の宝庫、箕面の山。大滝や秋の紅葉等が有名で、年間100万人を超える人々が訪れます。
現在の豊かな自然環境があるのは、行政、市民、多くの団体による活動のおかげです。箕面の山パトロール隊も、その団体のうちの一つです。今回の取材では、箕面の山パトロール隊の隊員、ロザンナ チャンさんにお話を伺いました。

 

 

 

自然を守りたい意識が高まり、参加者数は10年で5倍に

 

 「箕面の山の美しさを守りたい」「山の自然の美しさを子どもたちに伝えたい」。そんな市民たちの想いから2004年に設立された、「箕面の山パトロール隊(以下 パトロール隊)」。
 毎月のクリーンハイキングを中心に、子ども向けのイベント、自然を楽しむ企画、不法投棄防止活動などを通して、箕面の山の自然環境を守っています。イベントの参加者は子どもから大人まで幅広く、設立当初は年間で400人程度だったのが、現在では2000人を超えるまでに。クリーンハイキングでのごみの回収量は、設立より114tを超えました。


●専攻の考古学がきっかけで日本へ、そして箕面へ


 カナダの大学では、日本の考古学を専攻。大学2年生のときに日本語の先生から日本留学を提案され、交換生として1年間大阪大学、その後2ケ月間長野の考古学会社に滞在しました。
 大学卒業後は、自分がやりたいことを考える時間を得るために大学院へ。考古学においては実地研究が重要で、文献だけ見ても分からないことが多いそうです。「ある国のものを勉強したいなら、その国に実際に行ってみないとなかなかうまくいかない」との考えから、大阪大学大学院で研究することに。
 子どもの頃からキャンプやハイキングで山を訪れることが多かったロザンナさん。大学院に近かった箕面の山にはよく足を運んでいたそうです。そんなとき、偶然、パトロール隊の活動を目にしました。彼らのおかげで年々ゴミが減っていく様子を見て、感銘を受けたそうです。ですが、このときはまだ活動に参加するまでには至りませんでした。


●「人のために何かをしたい」との思いから、パトロール隊へ


 その後、あることが原因で3,4年前に入院をしたロザンナさん。手術は無事終わりましたが、しばらくの間体が動かず意識だけがぼんやりしている状態でした。そして意識が戻ったとき、恐怖感におそわれました。

 

“目が覚めたときに、全身が動かなかったんです。それがすごく怖くて。その時にふと、人のために何かをしたいと強く思いました。同時に浮かんだのがパトロール隊で、そのことしか頭になかったんです。そして、すぐにメールを送りました。一般参加ではなく、隊員になりたくて。”


 大学生のころから子どもに関するボランティアに携わっていたロザンナさん。そんな子ども好きのロザンナさんが主に引率している行事は、子ども向けの企画やハイキング。絵を描いたり、遊びを教えたり、絵本を作ったり。ハイキングでは思うがままにあちこち動き回る子どもたちの世話をする大変さでさえ楽しみのひとつ。「葉っぱ1枚でも楽しく遊ぶ子どもたちに癒されるんですよ」とにっこり。


“きれいな箕面の山を子どもたちに残して、自然の大切さを伝えたいです。最近は、部屋の中でゲームをする子どもたちが増えてきていますよね。そういう子どもたちには外に出る方が、心にも健康にも良いということを教えたいです”とロザンナさんは語ります。

 

●学生に伝えたいこと


“箕面の山は整備がきちんと行き届いており、初心者にやさしい山です。また、日本全国でも駅から歩いてすぐ行ける山はそうありません。せっかく近くに住んでいるのですから、ぜひ登ってみてください。そして、できれば箕面の山パトロール隊に一般参加者として参加してみてください。もし自分に合うと思ったなら、正規隊員になっていただけると嬉しいです。
ボランティアとしてNPOに参加すると、色んな世代の方とのコミュニケーションや状況に応じた対処法を学べるので、将来社会人になるための良い練習になるのではないかと思います。自分の行動に責任がともなうこともありますが、気軽に、積極的に参加してもらえればと思います”


●今後のイベント

 

9/27 ボランティアスタイル(滝道清掃)
9時20分 箕面駅前集合
内容:大阪ボランティア協会と連携して実施する午前中2~3時間のちょこっとボランティア
参加費:無料


クリーンハイキングの他に、季節にあわせたイベントも開催されます!
詳しくはHP(http://www.minoh-pato.com/)に記載されています!


●基本情報


団体名   箕面の山パトロール隊
住所       箕面市坊島4-5-20みのおキューズモールWEST1-2F
       みのお市民活動センター内
TEL&FAX  072-725-2260
Eメール      info@minoh-pato.com
ホームページ  http://www.minoh-pato.com/